「世界一美しい」と称されるフランスのレディスブランド「レオナール」のプリント柄。そのプリントを最大限生かす縫製技術を守り、引き継いできたのが三共生興グループの縫製工場、北陸三共生興(福井県勝山市)だ。
静かな縫製工場
以前はカジュアルブランドのカットソーなどが軸だったが三共生興グループに入り、今ではレオナールの日本企画「レオナールファッション」に特化。看板商品であるワンピースやボトム、コートなどほぼフルアイテムを生産する。中心価格はワンピースで20万円台、ブラウスで10万円前後、ダウンコートで40万円台など。「生産枚数よりも品質。ゆっくり丁寧に作るのでミシンの音がそれほどしない。静かな縫製工場とよく言われます」と安川理工場長。
レオナールならではの技術が最も必要とされるのが首周りや袖口、裾。レオナールを象徴する「ボーダー」と呼ばれるプリント生地が使われる部分だ。デザイナーはレオナールらしさを出すためボーダーを多く使いたいが、安川工場長は、「できるだけ使用を抑えてほしい」と要望し、〝せめぎ合い〟の中からデザインが決まる。工場側がボーダーの使用を極力控えるよう求めるのは、人手と手間が非常に掛かるからだ。