柏木です。
先週末、サザビーリーグが開催したイベント「Lien PROJECT by The SAZABY LEAGUE」を取材してきました。
ネットではなく(ネットでも良いが)、リアルで何か新しいことをやろうとしている人を集め、ピッチイベント形式でそのアイデアを披露する場を設けようという趣旨です。集まったアイデアを最終選考するイベントが先週末行われたわけです。
イベントでは、審査に先立ち、パネルディスカッションが行われました。
左からイベントの審査員も務めたスマイルズの遠山正道社長、トランジットジェネラルオフィスの中村貞裕社長、ザザビーリーグの三根弘毅執行役員のお三方です。
ディスカッションの中で、「クリエイティブ(であること)とビジネス(として儲ける)の両立は可能か」との問いに、遠山さん曰く、「やりたいことを大事にすること。ビジネスとなれば、嫌でも計算が付きまとう。我々の仕事も安定するまで何年もかかった。それでも、『やりたい』から、続けられたし何とかなった。そういう気持ちをクリエイティブと言い換えてもいい」。
次に、ライフスタイルをビジネスとして市場に根付かせるポイントとして大事なことについて中村さんは、「目下の判断基準は「行列(ができるか)」とか「(日本に)初上陸」か。ただ、それはこういう文化を提案したい、と言うのが大事。たとえばビルズは朝食文化、マックスブレナーはチョコレートをカジュアルに食べる文化の提案であって、飲食店というより、ライフスタイルショップ。そうでないと根付かない」。
お2人の発言に関連して、「ロンハーマン」を導入した際に心がけたことについて三根さんは、「作りたかったのは、シャツとかジーンズとか、何か買いたいから行く、ではなくて、今日は天気が良いから行ってみよう、と思ってもらえる店。どれだけ店でお金を使ってもらうのか、とは別の視点で考えた価値を届けて、お客様を笑顔にしよう。そこにこだわって店を作ってきた」。
いずれも至言ですね。
パネルディスカッションの後、応募のあった255件のアイデアから選ばれた8件に関し、公開審査が行われ、優秀賞(賞金30万円)と最優秀賞(100万円)が選ばれました。
ネット系のアイデアに集中しがちなピッチイベントをリアルのライフスタイル事業でも形にしよう、というのが、サザビーリーグが今回のイベントを主催した理由だったそうです。
ただ、せっかくファッションに絡む事業も多く手がける会社が主催しているのに、今回、公開審査まで残った8件の事業プランの中には、ファッションにあまり関連するアイデアは(美容関連のアイデアが1つだけあったものの)はなかったです。
パネルディスカッションでの審査員の方たちのコメントを聞いていて、店もブランドも供給過多で飽和気味のファッションの市場でも、結局は「やりたい」気持ちと、他とは違う目の付け所があれば、「その手があったか」っていうアイデアを見つけることはできるんじゃないかと思いました。
ちなみに、アイデアの元ネタを探すには、繊研新聞が便利です。平日の月~金(祝日、休刊日除く)の5日間、お手元にファッションビジネスに特化したニュース満載の紙面を届けています。
明日(31日)まで、購読お申し込みの方に、素敵な特典もご用意しています。ご興味があれば是非。
ではまた。
かしわぎ・まさゆき 20余年にわたり、川上から川下まで取材をしてきた記者が1億コ(自己申告)のネタから選りすぐりを披露します。編集部記者。92年入社、大阪支社で商社など川上分野とアジアを長年取材。02年に東京本社転勤、現在、セレクトショップや外資系チェーン店などを担当。統計資料なども司るデータ番長