ミツヤコーポ 「トリポーラス」使用生地を拡充

2019/09/10 06:25 更新


 物流やOEM(相手先ブランドによる生産)のミツヤコーポレーション(大阪府堺市)は、ソニーの多孔質炭素材料「トリポーラス」を活用した生地バリエーションを拡充した。丸編みやトリコット、ラッセルといった編み地や、デニムを含む織物、タオル、不織布などラインナップを増やし、このほど都内で開いた展示会で提案した。

(小堀真嗣)

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 トリポーラスは、高い消臭機能が特徴の多孔質炭素材料。吸着容量が大きく、これまでの活性炭では除去できない臭い成分などの高分子物資やウイルスも素早く吸着する。「洗うと孔の中の吸着物が除去されるため、性能は回復する」(ソニー)という。従来廃棄されていたもみ殻を活用した環境配慮型の素材としても訴求している。

 ミツヤコーポレーションは、協力メーカーとレーヨンにトリポーラスの粉末を練り込んだ「トリポーラスファイバー」を開発。紡績糸としてレーヨン100%と、レーヨン・綿混、レーヨン・ポリエステル混などを揃えており、エコテックス認証を取得済みという。和歌山や北陸といった産地の企業を中心に協業して生地開発を進めている。

もみ殻と「トリポーラス」(写真右)

 丸編みは阪和、風神莫大小、カジニット、ミツカワ、河村繊維、織物は東亜紡織、播、港屋、小菱産業、クロキ(デニム)、ラッセルはSHINDO、トリコットは三国トリコット、染めはソトーと貴志川工業。製品では靴下が高友繊維、タオルが藤高。

 展示会ではメンズのジャケットやTシャツ、帽子、靴下などの製品を見せ、大手のスポーツメーカーやセレクトショップなどの小売業が来場し、関心を示したようだ。今冬の店頭発売に向けて取り組むファッション小売業者もあるという。

「トリポーラスファイバー」を使ったジャケット類
「トリポーラスファイバー」を使った靴下や帽子、手袋

 重点課題は、トリポーラスファイバーのポリエステルタイプの開発だ。レーヨンは「湿摩擦に弱い」(ミツヤコーポレーション)ため、「レーヨンタイプだけではスポーツウェアやユニフォーム用途への対応は難しい」。

 開発中のポリエステルタイプは、引っ張り強度と消臭率が不十分。加工方法を見直して課題のクリアを目指す。



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