【ミラノ=三冨裕騎】1月31日に開幕した24年春夏向けの国際素材見本市ミラノウニカ。生地の表面変化や柔らかな光沢感といった要素は根強いものの、ナチュラルな色みや、ベーシックな組織がよりミニマルでクリーンな印象を際立たせた。意匠糸使いや、透け感の表現も目立つ。
ポジティブな表現
日本、韓国パビリオンも含む出展者総数は475社。日本パビリオンでは26社が現地にブースを構えるなど、会場もコロナ禍前のようなにぎわいが戻ってきた。
22年のイタリア産テキスタイルの販売額は81億ユーロとなり、前年比32.4%増と大きく回復しつつある。そうした中、「テキスタイルの持つポジティブなエネルギーを表現したい」(ステファノ・ファッダミラノウニカトレンドディレクター)として、トレンドテーマに掲げられたのは、思考、行動、感情の三つの力から成る「スーパーパワー」だ。
中でも来年以降も続くだろうとしたのは、「パワーオブソート」(思考の力)と題したテーマ。「ピュアで透明感のある洗練された素材への関心は高まる」として、「単にシンプルというより、エッセンシャル(本質的)」な素材を求める動きが強まりそうだ。
異なる要素合わせ
ファリエロ・サルティは、ブークレ糸とモール糸を交互に配したからみ織りで、表面変化と光沢、透け感を演出した。あえて後染めすることで、表面感がありつつも全体的に落ち着いた見え方になった。
意匠糸を使い、生地にアクセントを持たせる動きも活発だ。ラグジュアリージャージーは、レーヨン・ナイロンでブークレ糸使いのジャージーを見せた。
マリーニ・インダストリーは、ワッフル調素材に意匠糸を複合した透け感のある素材を提案。一方、得意とする麻では、ラフな雰囲気のリネンにラメプリントで光沢感をプラスするなど、異なる要素の複合でカジュアルかつ上品に仕上げた。
カンジョリの綿・ポリウレタン複合は、ファンシーツイードのような組織だが白一色で、立体感とクリーンな雰囲気が印象的だ。リネン・レーヨン・ナイロン・マニラ麻複合は、箔(はく)プリントで粗野な中にも高級感を見せている。