経産省 産構審繊維産業小委員会が中間取りまとめを公表

2024/06/27 07:59 更新


 経済産業省は6月25日、産業構造審議会製造産業分科会繊維産業小委員会の中間とりまとめと「繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン」「繊維製品における資源循環ロードマップ」を公表した。

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 同委員会は21年11月に設置。22年5月に30年に向けた日本の繊維産業のあり方と政策の方向性を示した「繊維ビジョン」を策定していったん閉会し、ビジョンで示した課題への具体化をするため、23年11月に再開した。再開後は今年6月14日までに7回の会議を開いた。中間とりまとめは再開後の議論を整理した。繊維ビジョンで示した課題の中から、環境配慮などのサステイナビリティーや人材確保・取引適正化への対応などにテーマを絞り、施策を提示した。

 情報開示ガイドラインはその施策の一つ。ファーストリテイリングなど先行して情報開示に取り組む企業からの意見も踏まえ、製造工程での温室効果ガス排出量や水使用量、販売製品の廃棄量、回収した製品の処分方法など求められる開示項目と方法などを示し、企業の事例を多く記載した。26年をめどに国内の大手アパレル企業でのガイドラインに沿った情報開示を徹底し、30年度に「日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)全会員企業を基本」に、国内主要アパレル企業の情報開示率100%を目指す。 

 中間とりまとめでは3月に公表した環境配慮設計ガイドラインの内容も記載した。リサイクル繊維製品に関する規格を作り、26年度にJIS(日本産業規格)化、27年度にISO(国際標準化機構)化し、ガイドラインに取り組む企業を30年度に国内繊維・アパレル企業の80%にする目標を明記した。

 併せて、委員会でも大きな課題として挙がった「適量生産・適量消費」の40年での達成を目指し、「まずは30年度に市場供給量を減少に転じさせることが期待される」と記載。そのために、「上質で長期間の使用が可能な製品や使用済みの衣料品を活用したリサイクル製品の普及が求められる」とした。資源循環ロードマップは40年までのこれらの取り組みと目標を整理した。

 人材確保・取引適正化対策では外国人技能実習制度の「特定技能1号」に繊維が追加されたことを踏まえ、経産省が秋に策定予定の繊維業界での国際的な人権基準「JASTI」(仮称)の活用と普及などを促す。

 田上博道製造産業局生活製品課長は、「サステイナビリティーは国際的な企業競争力を強化するために取り組むという考えが大切。そのための一定の指針は示せた。適量生産や、環境配慮などの国際的な認定、認証ルールの基盤整備などが引き続き、政策課題」と総括した。

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