鉱物由来の機能素材を開発・販売するアドエルムテクノロジー(東京)は26年春夏から、技術および素材ブランドを刷新する。アスリートのパフォーマンスやコンディショニング支援という目的を明確にし、拡販を目指す。
(小堀真嗣)
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同社の独自技術「アドエルム」は、感覚器が様々な刺激を感知して起こる人体の生理反応を応用したもの。鉱物由来の特殊な粉末をポリエステルに練り込み、その素材が体に刺激を与え、運動効率あるいは休息効率を高めるという。
これまでは技術・素材の総称をアドエルムとし、用途に応じた三つの技術カテゴリーを設けていた。カテゴリーは「アスリートの潜在力を最大限に引き出す」ことが目的の「アド3」、軽い運動など日常のアクティブな場面向けの「アド2」、リラックスする場面向けの「アド1」。26年春夏からは、各技術を活用した素材をブランドにして打ち出す。
目的は「スポーツテックカンパニーとして独自のテクノロジーをさらに売り、広げていく」ことだ。「ヴィゴレックスプロ」はアド3、「ヴィゴレックス」はアド2とアド1、「ニューモード」はアド1を使った素材のブランドとする。
ウェアが主力のPB「アドエルム」もデザインを刷新する。従来はグラフィックなどストリートカルチャーの要素をデザインに取り入れていたが、シンプルにした。汎用的なイメージを発信し、PBの客層はもちろん、素材も幅広い需要を捉えたい狙いがある。
PBのラインナップは、ヴィゴレックスプロが同社を象徴する「ヒーロースーツ」のシリーズ。ハーフジップジャケット(税込み1万8590円)や半袖Tシャツ(8250円)などを出す。ヴィゴレックスとニューモードには、一般医療機器「家庭用遠赤外線血行促進用衣」の半袖Tシャツ(6000~8000円台)を出す。医療機器の製造販売業許可を持つ医療機器メーカーを通じて届け出の準備を進めている。


子会社化に向けジーイエットと基本合意書締結
「マックハウス」を運営するジーイエット(東京)はこのほど、臨時取締役会でアドエルムテクノロジー(同、以下アドエルム)の子会社化を目的とする基本合意書を締結することを決めた。
今後は詳細を協議し、最終契約の締結および子会社の手続きを進める。
ジーイエットはアドエルムについては「多額の研究投資を経て蓄積してきた知的財産に戦略的価値がある」と強調。「世界の繊維系ベンチャーに比肩し得る先進性と事業化ポテンシャルを備えている」と評価する。
その上、アドエルムが「研究開発フェーズを完了し、商用化段階に移行している」ことや、「医療やヘルスケア分野などでも有効的に(技術を)活用できるポテンシャルを持つ」ことに着目。子会社化により、「事業ポートフォリオを大きく拡充する」とコメントした。
アドエルムの直近の業績は25年6月期の売り上げが1億4260万円(前期比88.7%増)、営業損益は2億9630万円の赤字(前期は3億2230万円の赤字)、当期純損益は3億3370万円の赤字(同3億4030万円の赤字)。

