経済産業省は4月1日、デジタルプラットフォーム運営事業者とその利用事業者間の取引の透明性と公正性確保を目的とした「デジタルプラットフォーム取引透明化法」の規制対象事業者を指定し、同法の運用を開始した。併せて、同日付で利用事業者の相談に応じ、問題解決のための支援を行う相談窓口を設置、「運営事業者の業務改善などにつなげる」(日置純子商務情報政策局デジタル取引環境整備室室長)。
指定事業者は物販総合オンラインモールで、アマゾンジャパンの「アマゾン」、楽天グループの「楽天市場」、ヤフーの「ヤフーショッピング」、アプリストアで、アップルとiチューンズの「アップストア」、グーグルの「グーグルプレイストア」に決まった。
法に基づき、指定事業者には利用事業者に対する取引条件の開示や変更の際の事前通知、苦情処理・紛争解決などを含む「公正な手続き・体制の整備」と、これらの施策などの1年間の取り組みと自己評価結果の報告書を経済産業大臣に毎年度提出することを義務付ける。
報告書の内容は取引先事業者や消費者、有識者などが評価し、その結果を公表する。評価結果に問題があった場合、国は事業者に自主的改善を求めることができる。独占禁止法違反の可能性があると認められた場合は経産大臣が公正取引委員会に対し、同法に基づく措置を要請する。
相談窓口はオンラインモール利用事業者向けで日本通信販売協会、アプリストア利用事業者向けでモバイル・コンテンツ・フォーラムに設置した。取引を通じて生じた問題などの相談を受け付け、アドバイスや弁護士の紹介、利用事業者向けの説明会や法律相談会などを行う。経産省のホームページにも相談・情報提供窓口となるウェブフォームを同日に設置した。
同法はECモール運営企業などが出店業者の同意を得ずに一方的に手数料を引き上げるなどの問題が生じたことを受け、公正な取引環境を整備するため、制定、今年2月1日から施行している。「イノベーションを促進する」ため、規制対象事業者は「市場で影響力が大きい巨大企業」に絞り、総合オンラインモールで国内売上額3000億円以上、アプリストアで2000億円以上とした。オンラインモールを食品や日用品などを扱う「総合」に限定したのは「影響力の大きさを重視した」ため。大手ファッション専門ECサイトは除外した。