経産省 第3次補正予算案で4兆7000億円計上 中小企業の資金繰り支援など増額

2020/12/16 06:25 更新


 経済産業省は12月15日に閣議決定した今年度第3次補正予算案で、新型コロナウイルスに対する追加の経済対策を中心に4兆7000億円を計上した。政府が最重点に据えるデジタル改革や50年に実現を目指すカーボンニュートラル(二酸化炭素の排出量と吸収量を実質ゼロにする状態)対策のほか、中小企業対策を強化する。これまでの補正予算などで措置した資金繰り支援策やIT活用などで生産性向上を進める企業への補助金、商店街支援策「Go To商店街」などを増額。大企業を含め、コロナを契機に生産拠点の国内移転や海外での多元化を行う企業を対象とする「サプライチェーン補助金」も増やした。

 中小企業向けの資金繰り支援策は8391億円(経産省分のみ)を計上した。民間金融機関による資金繰り支援として財務省分1兆699億円を含む1兆8980億円計上。2次補正で措置した実質無利子・無担保融資を来年3月まで実施、経営改善を促す信用保証制度を新設する。政府系の日本政策金融公庫による資金繰り支援では186億円(財務省計上76億円含む)を計上。新事業やビジネスモデルの転換などの「前向きな設備投資」に関わる適用金利を貸付後当初2年間は0.5%引き下げる「設備資金貸付利率特例制度」を新設する。

 さらに、業態転換を含めた事業再構築を促す「中小企業等事業再構築促進事業」として、1兆1485億円を計上。申請前の直近6カ月間のうち、売上高が低い3カ月の合計売上高がコロナ以前と比較して10%以上減少している中小企業に最大6000万円を補助する。コロナによる業績悪化を背景に店舗を縮小し、ECに業態転換する小売店などを想定する。また、「ものづくり補助金」「IT補助金」「持続化補助金」からなる「中小企業生産性革命推進事業」の特別枠で2300億円を計上した。Go To商店街は1次補正で51億円を計上し、採択事業数が12月9日時点で412件。「想定以上に申請があり、好評。予算枠が足りない」(定光裕樹中小企業庁総務課長)ため、30億円を追加した。

 サプライチェーン補助金は1次補正で国内への移転を促す「国内投資促進事業費補助金」で2200億円、海外での多元化を促す「海外サプライチェーン多元化支援事業」で235億円を計上し、国内投資促進事業費は今年度予算予備費で860億円増額した。マスクや防護服の生産を中心に、繊維関連の採択事業者も多い。3次補正では国内投資促進事業費で2108億円、海外での多元化で116億7000万円増額する。

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