「50、60代の女性が、二十数年経って戻ってきてた」。百貨店のファッション部門担当者からそんな趣旨の話を聞いた。20、30代の頃、海外デザイナーブランドを購入していた人たちだ。思い出したのが、少し前に電車で乗り合わせた40、50代と思われる男性2人組。昔、通っていたのであろう地域で著名な個店専門店の名前をいくつか挙げながら、ファッション談義を続けていた。
団塊ジュニア世代を中心に、40~50代の中年層が注目を集め始めている。『中年中心社会』(集英社新書、原田曜平著)によると、団塊世代の多くが75歳以上の後期高齢者となり、団塊ジュニアやポスト団塊ジュニア世代の社会への影響力が高まっている。おもちゃや楽器、フィットネス関連市場が拡大しているのも、人口の多い中年層の需要が背景にあるという。
この世代のライフスタイルや志向は多様だ。同書では「世帯収入」と「消費意欲・メディア接触」によって七つのタイプに分類している。驚いたのは、各タイプの可処分所得の使い道。貯蓄が一番も多いが、「イマドキこだわり中年」など三つのタイプは、ファッションが一番だった。
冒頭の二つの事例はそんな実例と言えるかもしれない。生活優先でファッション消費から遠ざかっていた中年層。その需要が高まっているとすれば、見逃せない商機と言えそうだ。
