《めてみみ》体験が生む好奇心の種

2025/12/11 06:24 更新NEW!


 豊かな人生において必要不可欠なものは何か。一つ選ぶとしたら「好奇心」を挙げたい。健康と少しのお金をベースにしながら、何かに対する興味や探求が人に活力を与え、世界を広げる。

 身近に、もうすぐ90歳になる女性がいる。僧侶であり、茶道の教授であり、料理店の店主でもある。体調を崩したり、時に入院もしたがそのたびに気合で復活してきた。以前にも増して精力的に活動している。

 原動力は「したい」という欲求だ。きもの、旅行、社会活動と関心の幅が広く、思い立ったら即実行。培ってきた知識や経験を足掛かりに必要とあらば夜中まで勉強し、早朝から活動する。その行動力たるや40代の私をはるかに超えており脱帽する。そういう姿は周りを引き付け、影響を与える。好奇心の輪が広がり、ひいては社会を活性化する。

 未来を担う若い人にもそうあってほしい。そんな願いを込めた活動が近年、各地で活発になっている。東京都渋谷区は24年度から、区内小中学生に向けて「自分が思い描く未来を実現する挑戦力」などを育成する「シブヤ未来科」を開始した。

 LVMHジャパンはその一環で、匠(たくみ)の技を継承するプログラムを実施した。中学生らはブランドの職人の繊細な手仕事を間近に見て、自らも創造の喜びに触れた。百聞は一見にしかず。こういった体験が新たな好奇心の種になる。



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