《めてみみ》良縁か悪縁か

2025/02/26 06:24 更新NEW!


 奈良県桜井市の大神神社は日本最古の神社。農業、商業、家内安全など様々なご利益があるが、縁結びの神様としても有名で、〝赤い糸〟伝説発祥の地として逸話も残る。昔、美しい娘と若者が恋に落ちた。素性を不審に思った娘の親は、ひそかに若者に糸を結び付けた。糸をたどると大神神社に行き着き、若者の正体が祭神である大物主大神だとわかったという。

 悪縁を切り良縁を結ぶという神社・仏閣も全国に散在する。京都市祇園近くの安井金比羅宮もその一つだ。主祭神は崇徳天皇。讃岐の金刀比羅宮で一切の欲を断ち切って参籠したことを踏まえ、〝断ち物〟の祈願所として信仰された。境内の絵馬には悪縁切りを願う言葉が生々しく書かれている。

 ファッション業界も人の縁が大きく左右する。A氏が行っても商談は進まないが、B氏が行けば商談がまとまるといった話は少なくない。まれに「自分の目の黒いうちはあの会社とは一銭たりとも商売しない」と言い切る経営者も。ここまで来ると、縁や損得のレベルではないが。

 最近は、ファンド系企業の出資が増え、物言う株主との新たな縁も生まれてきた。上場している以上当然のつながりだが、時に企業の創業精神や、財務事情などを無視したような株主提案も散見される。良縁になるか、悪縁になるか。経営の決断が問われる。



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