25~26年秋冬メンズファッションウィークは、ミラノからパリへと舞台を移している。ミラノはビッグブランドがウィメンズの時期に発表をずらしたことで、参加ブランドの数も少なく、やや寂しいスケジュールだった。そうした流れは、パリに入っても大きくは変わらない。
パリ前半で目立つのは、プレゼンテーションの比率が高いこと。これまでショーで発表していたいくつかのブランドも、今回はプレゼン形式に変えた。現地のアタッシュドプレスに話を聞くと、ショー経費が高騰しているという。大きな売り上げを誇る有力ブランドならまだしも、資金力に乏しい若手デザイナーにとっては、ショーを継続するのが厳しい時代といえる。
90年代半ばまでのファッションウィークは、インディペンデントのデザイナーブランドがほとんど。ブランド側とバイヤーなどとの関係ももっと親密だった。その後、ラグジュアリーブランドはグループ化され、大きなコングロマリットを作り、ファッションウィークは変わっていった。
ビッグブランドの資金力を生かしたスペクタクルなショーは面白い。しかし、ファッションウィークがそれだけになるのもつまらない。デザイナーたちの服への情熱が詰まったコレクションが、色々な形で存在すること。多様な価値観の存在がファッションには欠かせない。