「可愛い子には旅をさせよ」とはよく言ったもので、旅は人を成長させるきっかけにあふれている。総務省によれば06年生まれの新成人(18歳)は109万人。それぞれ新たな旅立ちを迎えている。今までの自分の世界から飛び立ち、見たことのない場所で様々なことにトライしてほしいものだ。
人類の発展にとっても、旅は重要な意味合いを持っている。遠い国や地域との交流や交易なくして、現在のような繁栄はなかっただろう。ただ一方で異文化に対する無理解や排除は戦争を含めた人類史の負の部分をも生み出した。
旅を通じて人は様々な道具を生み出し、その機能を高めてきた。馬車旅や船旅に用いるトランクや飛行機で使うジュラルミンケース。材料も木材や皮革、布張りなど時代とともに変化した。服もシワになっても復元しやすいウール、シワになりにくいナイロンなどの合繊、携行しやすいパッカブル素材、通気性、撥水(はっすい)性といった機能も含め開発が進んだ。
イタリアで開催中のピッティ・イマージネ・ウオモ展。招待デザイナーは桑田悟史の「セッチュウ」だ。旅で使いやすいように着方が変化して、しかもジェンダーレスにアイテムが変化する。そして、西洋と日本の文化をまたぐ和洋折衷がコンセプトのブランド。今の時代にその物作りがどう受け止められるのか。ショーの評価はいかに。