ここ数シーズン、メンズ服が女性に人気だ。女性記者である私もメンズ服を着る機会が増えた。クローゼットを占めるメンズ服の割合は年々増加。新しいカテゴリーが加わったことで、コーディネートの幅が広がった。
24~25年秋冬は、メンズの「トーガ・ビリリース」でブルゾンを購入した。直線的でスタンダードなデザインに、ブランドらしい手仕事がさりげなくプラスされている。装飾が控えめで日常的に使いやすく、今っぽい抜け感のオーバーサイズが楽しめる。同じタイミングで、同世代の女性編集者たちも色違いをこぞって購入。にわかに周辺でブームとなった。
メンズっぽいデザインのレディス服と同じかというと、似ているようで少し違う。女性の原型パターンを元に仕立てると、たとえメンズ風だったとしても女性らしいシルエットになる。
一方、男性用に作られた服を女性が着ると、予想外のフォルムとなる。その独特な違和感が新鮮で、女性を引き付けている。実際、いくつかのデザイナーブランドでは、レディスのバイヤーがメンズ服を買い付ける傾向が年々高まっているという。
着る人が自由に選ぶ感覚が広がり、垣根が取り払われていく。レディス服を着る男性も増えている。性別を超えて服を楽しむ感覚には、未来のファッション市場を開拓するヒントが隠されている。