都内では、25年春夏に向けた展示会が開かれている。コロナ禍以前は7月に展示会を開催するブランドは必ずしも多くはなく、9、10月にかけて展示会をするブランドが主流だったが、海外市場をにらむブランドを中心に7月の展示会が増えている。
海外市場の開拓を進める上でカギとなるのは、そのブランドのオリジナルな部分を伝えられるかどうか。コンセプトや素材の使い方、カッティングなどにそのブランドのオリジナリティーがあるかどうかが試される。日本のブランドらしさというのも海外市場にとっては魅力の一つだ。
25年春夏パリ・メンズファッションウィークで見せた「ダブレット」のコレクションが、まさに日本らしさを強調したものだった。「アイドル」をテーマにした〝推し活〟文化を背景にコレクションを作った。誰かを応援するスタイルを、井野将之が得意とするユーモアを交えて描いた。同時にそれはサステイナブルな物作りを進める人たちへの応援とシンクロするというストーリーだ。
今や韓流アイドルとその追っかけがファッションウィークをにぎわしている。それがファッションウィークを社交の場へ変えつつある。新たな美を想像する場にファッションウィークをとどまらせるには、デザイナーたちの豊かな物作りが欠かせない。7月の展示会でもそんな個性と出会いたい。