《めてみみ》真に売る力

2024/07/10 06:24 更新


 時代の流れが変わり、変化への対応が必須と感じる時がある。5年前に韓国でECに強い企業を取材をした際、ブランド事業責任者は「今は世界的に売れるモノが均質化したので、機会をつかむ即断が重要」と述べていた。日本企業は即断が不得手で、今も改善すべき課題に横たわる。

 中国で取材を始めた21年ごろには、「日本製の品質・性能・きめ細かさを中国はまねできない」と技術職の人々からよく聞いた。しかしコロナ禍から4年で、自動車や機械、化粧品など多分野で中国企業の製品開発力の向上は目覚ましい。直近の経済低迷により、費用対効果では中国企業に軍配が上がることが増えた。「約4年で状況が一変した」と、多くがため息をもらす。

 品質・性能まで均質化した今、日本は何をすべきなのだろう。「売ることにもっと投資をすべき」と中国で長く事業する人々は喝破する。中国人は未完全な製品でも売る力量を持つが、日本人は品質・性能推しで、真に売る力が乏しい。特に海外で売る力を獲得するにはふさわしい人材や連携企業へ投資するしかない。

 しかし、経営陣は財務重視で投資におっかなびっくり。「それで売り上げを求められる営業担当はかわいそう。将来がない」

 もちろん投資には失敗の可能性もある。それでも、売る力の確立に向けて挑戦し続ける企業体への改革が重要だ。



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