《めてみみ》しわ寄せの構図

2024/06/25 06:24 更新


 24年5月時点の難民の数は1億2000万人。世界人口の1.5%、日本の人口と同数が、紛争や災害などによって故郷を追われて暮らしている。国連難民高等弁務官事務所によると、この10年で3倍に増えたという。

 アフガニスタンの難民問題は79年から続き、シリア難民も10年以上、避難生活を強いられている。最近は日本で報道の多いウクライナやガザ地区のほか、スーダンでも紛争の激化に伴い避難する人の数が急増している。

 難民の受け入れ国ランキングはイラン380万人、トルコ330万人、コロンビア290万人と続く。欧米先進国ではドイツが160万人で4位に入っているだけ。ちなみに日本は1万人以上の難民申請に対して、受理されるのは数%に満たない。

 日本は服のほとんどを海外生産に頼っている。そして使われなくなったり、売れ残ったりする服が年間50万トン発生する。このうち20万トンが古着として輸出される。ほとんどはアジアやアフリカに渡り、売られ、残りは廃棄される。

 難民が発生するのも、受け入れるのも、先進国向けにアパレルを生産し、使い終わった後は古着として輸入し、最後はごみとして受け入れるのも、基本的には新興国や発展途上国だ。グローバルサウスと呼ばれる国々ばかりにしわ寄せが及び、割を食う構図はどこかで終わらせるべきではないだろうか。



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