2月下旬から3月初旬の上海は、降雨続きで寒い日が多かった。手袋は必携だし、たんす奥深くに眠っていたニット帽も引っ張り出したほどで、こんなに冷えた上海は珍しいのではないか。
冷え冷えと表現すると、「中国の不景気」につながる。中国市場はこの間の株価下落で約885兆円の時価総額が失われたとのニュースが流れた。日本からは「そんなに重症じゃないでしょ」と疑う声もあるようだが、街なかは春節(旧正月)前と期間中は旅行や消費で盛り上がったものの、今はまたシビアだ。人気飲食店も夜8時以降は客がいないし、各都市で新車購入補助金などの消費喚起策が実行されている。
となるとアパレル周辺も厳しいかと思いきや、生地・素材・付属販売の企業などは「言われているほどの不況は感じない」という。理由には、アパレル関連は22年のロックダウン(都市封鎖)の方がダメージが大きかったこと、旅行ブームによる服の買い替え需要などが挙がる。実際には売れているブランド・店と、そうでないところとでくっきり二分し、伸びている企業と付き合えているかで差が出ている。
ただ、もう第1四半期が経とうとするなか、「一寸先が読めない」状況にある。ここは周辺環境の悪さに気を取られず、自社が選ばれるために面白い発想と工夫、特徴の発揮に磨きをかける時といえる。