デザイナーブランドを扱うショップの秋冬のイベントを見てみて、いくつかの共通点を感じることができた。一つは、デザイナーブランドもそれを仕入れる小売店も、ますますサステイナブル(持続可能な)を意識しなければならなくなっていることだ。Tシャツ1枚につき福祉施設に一定額が寄付されるブランド、破棄されたプラスチックを使ってアクセサリーを作るブランド、そんなブランドを編集した売り場が見られた。
もう一つは、手仕事の技、職人の技術をアピールする売り場が多いことだ。オープニングやリニューアルにあたって、職人たちに依頼した工芸品やアート作品を展示するショップが増えている。ハンドクラフトの持つ力を身近に感じられる空間で、顧客に売り場の多彩な魅力をアピールする。
デザイナーブランドを求める客層は、いろいろなクリエイションに関心があるのであろう。持続可能な物作りにおいて、ファッションデザイナーがどのように知性を発揮できるのかを知りたい。ファッションだけではない、様々なアートやクラフト作品にも触れてみたい。そんな顧客も多いはずだ。
服と服以外の多様な知的な魅力のあるもので構成される空間、それこそが実店舗だからこそできる店の在り様なのかもしれない。そんな顧客の知的な好奇心に応えられる店作りが求められている。