《めてみみ》小売業として学ぶもの

2023/09/05 06:24 更新


 そごう・西武は、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループの傘下に入った。フォートレスは西武池袋本店など「店舗の改装と設備投資に200億円以上を投じる予定」という。ヨドバシホールディングスと連携し、そごう・西武の再建を目指す。

 ヨドバシが西武池袋本店、西武渋谷店、そごう千葉店の建物を一部取得する案など、百貨店、SC事業を主導する。特に池袋はヨドバシカメラの空白地帯で、ビックカメラやヤマダ電機などがある激戦区だ。計画では本館の北、中央ゾーンにヨドバシ、南ゾーンに百貨店やテナントが入る案が示されたが、一部でヨドバシの出店が見直された。1階などにECの受け取り窓口の設置が見込まれる。

 いずれにしても百貨店は大幅に縮小し、既存ブランドの撤退・移設は避けられない。ヨドバシは非上場ながら、業界随一の収益力、駅前立地を生かした集客力がある。しかし、家電量販店を核に営業力をてこ入れするだけで百貨店を再び成長軌道に乗せるのは難しい。

 ヨドバシは家電以外に品揃えを広げ、いち早くECと物流網を整備してきた。EC商品は800万点を超える。小売業としての基盤は百貨店としても学ぶものは多い。そごう・西武は23年2月期の最終損益が130億円の赤字で、赤字は4年連続。低迷からの脱却は急務だ。



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