《めてみみ》楽しめる価格

2023/07/21 06:24 更新


 都内では、24年春夏とプレコレクションの展示会が開かれている。猛暑の中だが、今シーズンは海外バイヤーの姿も見られるようになった。展示会を回っていて気づいたのは、価格の変化。春夏にもかかわらず、これまでよりも高額な価格設定にしているブランドが目立つ。

 もちろん、背景には原材料費の高騰がある。ブランド側もどこまでコスト高を価格に転化できるのか悩みどころ。バイヤー側の受け止めも様々で、現状を考えればやむを得ないと見る店もある一方、地方の店の中には価格帯が合わずにオーダーを控えるところもあるという。インポートブランドを扱っている店は、それでも国内ブランドの方が割安に感じるようだ。

 為替が円安に振れているため、インポートブランドの価格の高騰はすさまじい。円が弱いから高く感じるだけなのかと思いきや、パリやミラノで現地価格をチェックしても、相当値上げしている。コスト高を理由に、便乗値上げしているのではと感じるブランドもある。もう、ラグジュアリーブランドには手が届かなくなってしまった。

 ファッションだから、憧れや夢も必要ではある。しかし、あまりに現実味のない価格に、引いてしまう。「ファッションを普通に楽しめる適正価格って何だろう」。バイヤーがつぶやいた言葉が脳裏に焼き付いている。



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