17年にスウェーデンで始まった「失敗博物館」が世界的に話題になっている。心理学者のサミュエル・ウエスト氏が世界の失敗した商品やサービスを収集したもので、企画展としてロサンゼルス、上海、パリ、台北などを巡回。今年はニューヨークで開かれ、盛況だったという。
展示品は170点近く、オンラインで無料公開もされている。例えば映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムマシンに使われている自動車「デロリアン」は、76年発売で当時として超未来的なデザインを実現したものの、売れずにメーカーは倒産。「速度は痛ましいほど遅く〝車輪の上の悪夢〟」と酷評されている。
ほかにもツイッター投稿のためだけに作られた専用端末、座面が回転して腹筋が鍛えられる椅子など、今となっては失敗して当然と思えるおかしな品々が並ぶ。興味深いのは、世界を牛耳る勢いのGAFAMでさえ、黒歴史と言えそうな失敗を経験していることだ。同博物館のホームページには「イノベーションには失敗が必要。革新的プロジェクトの大部分は失敗するが、これを展示して学習体験を提供する」と狙いが記されている。
流行の波が大きいファッションビジネスで栄枯盛衰は日常事とはいえ、鳴り物入りでデビューした業態やサービス、一世を風靡(ふうび)した企業らの失敗の数々も、学びの宝庫として捉え直せそうだ。