《めてみみ》小さいセール

2023/06/16 06:24 更新


 長期にわたるコロナ禍が各業界に与えた負の影響は大きい。一方で、従来のビジネス手法を変えるきっかけともなった。OEM(相手先ブランドによる生産)が中心だった多くの縫製工場が、クラウドファンディング活用やECで自社ブランドの販売に乗り出しているのはその一つだろう。

 百貨店やファッションビルなどECに否定的だったリアル施設が、ECや非店頭販売を開始したのもそうだ。店頭営業が出来ない危機感から生まれた新規事業。行動制限の緩和で、商業施設は再びリアル重視に戻っている。工場も再びOEMの受注が盛況と聞くが、新規事業の芽が摘まれないことを願う。いずれも消費者との大事な接点でもあるはずだから。

 さて、もうすぐ夏のセールが始まる。かつてのようにはセールの「早期化」の話題は聞こえてこない。今春夏の〝正価商戦〟は19年比にはまだ届いていないところもあるものの、前年比では連続増収が続いているのが要因だろうか。

 コロナ禍以前は、長らくセール不振が続いていた。今から思えば、販売数量確保のための生産が過剰在庫を生み、セール頼りの販売に走らざるを得なかったのだろう。全ての商品が正価で完売するのは難易度が高いが、正価販売比率が高ければもはやセール売上高は小さくても良い。それがこれからの売り方なのだろう。



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