コロナ禍で大きな打撃を受けた大手紳士服専門店も今春の売り上げは回復してきた。ヤマ場の就活やフレッシャーズ商戦が堅調だった。リモートワーク中心だったのが、出社が増えたことで、スーツ離れが加速したビジネスマンの需要も戻ってきた。
5月8日には新型コロナが「5類」に移行するため、メンズファッション市場もようやく明るい話題が増えそうだ。百貨店やGMS(総合小売業)の市場でも旅行やレジャーに向けた大人の男性向けカジュアルウェアが伸びている。東京の観光スポットや繁華街は外国人観光客でにぎわい、インバウンド(訪日外国人)需要にも大きな期待が持てる。
一方で、足元の市況が良いからといって、メンズのブランドや専門店は、すぐに反転攻勢をかけられるわけではない。特に出店戦略は慎重なところが多い。空きテナントに困っている商業施設からの出店オファーは多くても、人手不足などで出られないのが現状。コロナ下に大量退店をした傷は癒えていないようで、まだ不採算店を整理している企業もある。
新規出店はまだまだ少ない。それでも、OMO(オンラインとオフラインの融合)型店舗で新たなカタチを模索する姿も目立つ。今はデジタルの活用も欠かせないが、強みだったリアルな対面販売を磨き、来るべき時に備える時期なのかもしれない。