《めてみみ》世代交代

2023/04/11 06:24 更新


 定点観測の取材で、あるメンズ専門店の店長からこんな話を聞いた。ここ数年、若い世代の客が夏場に短パンを買わなくなった。ムダ毛が気になるとか、短パンをはくこと自体がスタイルとしてクールではないとか、色々理由があるらしい。

 実際、去年も大型連休の前後には、オリジナル商品や仕入れで毎年人気の「パタゴニア」のバギーショーツなどが入荷したのだが、買うのは「30~40代の大人客ばかりで、10~20代は目もくれなかった」。

 原宿にオープンして50年近く経つその店には長年通う大人の顧客が多いが、若い客にも響くよう、品揃えを強化し、接客にも工夫を凝らしている。取り込みを狙う世代に響いていない短パンを今夏はどうするのか、店長に聞くと「若い人には売れないと思うが、店には置く」とのこと。

 「10~20代が好むスタイルは、10年後に10~20代になる世代に選ばれないことが多い」。例えばきれいめのモードっぽい服を好きな客層の次の世代は古着を好んで着るようになるとか「好き嫌いや格好良い、ダサいの感覚は周期的に入れ替わる」という。

 ある時代のメインストリームのカルチャーは、それに対抗する形で生まれたサブカルチャーにいずれ取って代わられる。長く続いている店は、客の世代交代のタイミングに備えて、品揃えの幅を広くしておくものらしい。



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