《めてみみ》美しさに向き合う仕事

2023/03/10 06:24 更新


 23~24年秋冬欧州デザイナーコレクションは、パリまでの日程を終えた。トレンドとなるスタイルでは、ミニマルなデザインやランジェリーを意識したものなど、ここ数シーズン続くトレンドが依然として注目されている。男性らしさと女性らしさの対比の中で、新しいエレガンスを模索する動きも見られた。英国的な素材を使ったクラシカルなエレガンスも増えている。体を包み込むような優しさやぬくもりを感じさせるイメージも広がった。

 ベーシックやスタンダードアイテムとハイファッションとの関係が、より発展したのも今シーズンの特徴。スタンダードアイテムを、オートクチュールのような手仕事を生かした特別なアイテムと組み合わせる。クラフトテクニックを入れたアイテムを、日常生活でリアリティーを持って提案することを意識している。

 それぞれのブランドの原点やオリジンに立ち返るような動きも目立った。繊細な手仕事を見つめ直し、物作りに対するポリシーを改めて感じさせるクリエイションに心がひかれた。

 「ドリス・ヴァン・ノッテン」のコレクションのキーワードとなった「服への愛情」が、時代の焦点となっているように思う。ファッションというビジネスを、美しさに向き合う情熱を持った仕事として再構築できるのか。デザイナーたちに問われている。



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