日米の金利差などから円安が進んでいる。24年ぶりに1ドル=140円台に突入し、さらに安値は続く勢いだ。商社の繊維事業では、輸入が大半のアパレル製品で円安やコスト高の影響を受け、利益確保が難しい。一方でテキスタイルを中心に輸出が好調で、特に欧米向けのスポーツ・アウトドア用途が全体を引っ張る。「円安は追い風だが、円安だから輸出を強化するわけではない。コロナ禍で停滞していたが、やっと花開きつつある」など、仕込みの結果という。
「十年ひと昔」とはよく言ったものだ。10年前の繊研新聞を読み返すと、11年度の繊維専門商社の決算は多くが過去最高益を更新する好業績。その年の平均為替レートは1ドル=約79円。超円高を背景に製品事業の利益が大きく伸びた。
一方で輸出は苦戦していた。しかし、超円高に負けず、欧米のスポーツ・アウトドア企業に〝日本ならでは〟の高機能生地を提案し、販売してきたブランドが今大きく伸びている。「あの超円高を乗り切った」ことが自信となり、その後の様々な環境変化を突破してきた。
製品事業は今が踏ん張りどころ。独自性や付加価値を追求し、「欲しいと言ってもらえる」「長く着られる」商品を作り、単価を上げる必要がある。この困難を機にブレークスルーできるかが、今後の製品事業のあり方を左右する。