繊研新聞社は商社の21年度繊維事業業績調査を実施した。売上高の回答企業は24社で、合計は1兆9676億円。前年度比0.8%減で2兆円を割り込んだ。減収は当期から収益認識に関する会計基準等を適用した企業が多い影響もある。
20年度は回答企業26社のうち、増収は帝人フロンティアが中核の帝人繊維・製品事業グループのみだったが、今回は24社中13社が増収。コロナ禍のどん底からは回復しつつある。
事業再編に伴い回答企業が2社減った。住友商事と日鉄物産だ。住友商事は昨年6月、スミテックス・インターナショナルを蝶理に売却した。今年1月には三井物産アイ・ファッションと日鉄物産繊維事業が統合し、MNインターファッションが発足。東洋紡は、東洋紡STCの繊維事業を分割し、東洋紡ユニプロダクツと統合、東洋紡せんいが4月発足した。東洋紡STCは高機能材を扱う商社として存続する。
国内衣料品市場の縮小やコスト高、円安、供給網の混乱、長いコロナ下。繊維事業で成長戦略を描くのは簡単ではなく、再編が続く可能性はある。しかし帝人繊維・事業グループ、東レインターナショナル、伊藤忠商事繊維カンパニーなど上位企業の今期目標は高い。コロナ禍を乗り越え次の成長を目指すか、それともこのまま後退するか、この間の打ち手の成果が試される。