《めてみみ》補助金の活用

2022/04/14 06:24 更新


 政府が21年度補正予算で措置した補助金事業の公募が本格的に始まった。ファッションビジネス業界に特化した制度はないが、要件を満たせば、利用できる制度は多い。

 特に多くの利用が見込まれるのが、経済産業省が20年度第3次補正予算で1兆1485億円、21年度補正予算で6123億円を計上し、6月30日まで6回目を公募中の「事業再構築補助金」だ。主にコロナ禍で業績が悪化した中堅・中小事業者が新規事業開発や業態転換などを目指す際の費用を補助する。この業界でも既に多くの事業者が採択され、3回目までで300件を超えた。

 採択された案件は、縫製工場による自社ブランドの直営店開設や織物技術を活用した寝具の開発など自社のノウハウを生かした新たな挑戦が多い。丈夫でさびないナイロンの技術力を生かし、洋上風力発電所向けの網を開発する企業もある。

 政府は産業政策を特定産業の保護主体から転換しており、対象業種を限定しない補助金事業は増える傾向にある。税金を投じるのだから、ファッションビジネス業界も自社の事業再構築や新たな成長につなげるために必要と判断すれば、積極的に活用すべきだ。ただし、「制度の存在を知らず、活用の機会を逸した」という事業者も多い。行政には業界団体とも連携した周知活動の強化が求められる。



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