「少しずつ人出は増えているものの、ふりの客の購入はまだまだ少ない」。異動のあいさつとともに、ある都心商業施設から届いたメールにあった。まん延防止等重点措置の解除が明らかになったころから、各地で人出が増えている。通勤電車の利用者数も日増しに増えている感じがするし、先の週末もどこかにお出掛けする老若男女で車内は混雑していた。とはいえ、かつての日常とは違う。
買い物での違いは「圏外(県外)客」が少ないこと。ふりの客だけではない。都心の施設が調べた21年10~12月のアプリ会員データによると、通勤圏内の購買客数は前年を上回っているが、圏外客は落ち込んだまま。都心への出控え意識が残っていることがうかがえる。足元商圏での生活になじんだこともあるのだろう。
オンライン接客やライブコマース、リモートショッピングサービスなどコロナ禍で急速に台頭してきたオンライン販売の影響も大きい。交通費や移動時間がかかる圏外客ほど利用頻度は高いと思われる。圏内客にも活用している人はいるものの、直近の商業施設の人出を見ると、オフライン(リアル)での買い物を選択している人の方が多数だ。
「人・モノ・器」で醸し出される店の雰囲気や街が備えている機能に、オンラインにはない魅力を感じているからだろう。オフラインの魅力を高めていくことと同時に、どのように伝えていくかも重要だ。