年明け、まだまん延防止等重点措置が出される前だった。セレクトショップのメンズドレス売り場で取材していると、セーターにジーンズ姿の中年の男性客がやってきた。傍らの連れの女性がジャケットやシャツを選んでいる。
カップルで買い物かと思ったらそうではなく、女性はパーソナルスタイリストなのだと店長が教えてくれた。コロナ禍になってからしばらく見なかったが、昨年の秋口から服選びが苦手な男性を伴ってよく来店するようになったそうだ。
店長によると、同じころに増えたのが、大人向けのドレス売り場には似つかわしくないカジュアルな服装のまだ学生とおぼしき男性客。それがなぜかみんなスカーフを所望する。
不思議に思ったスタッフが客の1人に聞くと、SNSでフォローしているアカウントにスカーフを使った着こなしがよく出てくるのでマネしたくなった。けれど普段よく行く服屋には画像で見たような商品がない。
そこで売っていそうな店をSNSで探し、スーツ主力のこの店にならあると知り、来店したとのことだった。外出自粛が長引けば、大人客相手のスタイリストはまた来なくなるかもしれない。でも、口コミを頼りに訪れる客の期待にも応えられるくらい品揃えが充実していれば、こんな時期でもリアル店には新しい客がやってくるようだ。