セール離れが進んでいるようだ。百貨店婦人服自主編集売り場の1月の衣料品売上高は、セール品の割合がまだ過半を占めているものの、正価品が伸びているところが多かった。コロナ禍前からセール期の正価品の売れ行きの良さが指摘されていたが、そのうち売上高構成比が逆転するかもしれない。
正価品の伸びは「新しい物や良い物があれば購入する傾向が強いから」とある百貨店。都心ファッションビルの担当者も「気に入ればセール品でなくても買う人が多い印象」と話す。セールが来店のきっかけであっても、セール品を求めているわけでないことがうかがえる。
先の百貨店に正価で売れているアイテムを聞くと、「まんべんなく」と言いながらも長袖のカットソートップを挙げた。先物ではなくコートインですぐ着用し、春先も着られる「カラフルなもの。気分が明るくなるようなもの」が売れているという。正価、セール品ともにコートが好調だった別の百貨店も「白やブルーが支持されている」。
共通しているのは「色」だ。無難な黒や紺などのベーシックカラー以外がトレンドで、需要が強い。行動が制限されるコロナ禍に対する気持ちの表れだろうか。可処分所得が増えていないはずだが、安く買うことよりも、おしゃれを楽しみたい欲求が高まっているのだろう。