フィンテック、アグリテック、ファッションテック…。最近、あらゆる分野で新しいテクノロジーを導入した〝テック〟ビジネスが目立つ。
「フェムテック」もその一つ。女性の体や健康に関する問題の解決を目指す商品やサービスだ。月経の予測からメンタルヘルス、更年期障害など対象は幅広い。本紙でも初出の19年11月以来、掲載が増えている。
経済産業省は25年時点のフェムテックの経済効果は年間約2兆円と試算したという。その半分以上を占めるのが、更年期分野。のぼせやほてり、発汗、頭痛、気分の落ち込みなど、原因がはっきりしない不調に悩む女性は多い。しかも、多かれ少なかれ誰もが経験するとなると、潜在的な市場は大きいはず。
ただ、更年期という響きは少し寂しい。加齢と衰えを象徴するイメージのためだろう。しかし、「更年期は更新期」と説くのは、更年期と加齢のヘルスケア学会会員で、東京・大岡山の漢方平和堂薬局に勤める大石雅子さん。生活や生き方を見直し、楽しみながら「自分をアップグレードできる時期」という。19年1月の本紙での寄稿連載はやや早すぎたかもしれないが、もっと広まっていい視点だ。
女性が健やかで前向きに生きることは、ファッションビジネス業界の可能性と直結する。女性たちの心身をケアする技術や研究に学ぶものは多い。