《めてみみ》児童労働

2021/07/05 06:24 更新


 国際労働機関(ILO)とユニセフが発表した児童労働のグローバル推計によると、20年の世界の児童労働者数は1億6000万人。4年前の前回調査よりも840万人増加した。世界の子供(5~17歳)の10人に1人が労働に従事している計算だ。特にサハラ砂漠以南のアフリカ地域が多く、4人に1人が従事しているとみられる。

 00年に始まったこの調査は前回まで児童労働の減少が報告されていたが、今回、初めて増加に転じた。新型コロナウイルスの感染拡大が影響したのかと思いきや、調査はコロナ禍以前に行われたもの。

 SDGs(持続可能な開発目標)は目標8のターゲット7に「あらゆる形態の児童労働を25年までになくす」と掲げる。現実的に25年までにゼロは難しいと思われていたものの、長期的には減っていると認識していた。だからこそ今回の結果は驚き、残念だった。

 コロナ禍が状況を悪化させることは想像に難くない。報告書では、適切な対策が取られない場合はさらに890万人の児童労働が増加すると警告する。

 児童労働や強制労働が関与する産品の輸入額は日本が世界2位(18年)という調査もある。今年は国連による「児童労働撤廃国際年」。人々に豊かな生活をもたらすファッション産業のサプライチェーン上に児童労働がないか、いま一度、見直して欲しい。



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