眠っていた地域資源で繊維事業を始めるベンチャー企業が増えている。沖縄県ではフードリボン(宇田悦子社長)が果実の収穫後に廃棄されてきた膨大なパイナップルの葉をアップサイクルし、繊維の量産化に踏み出した。アパレル製品として地元のリゾートシャツブランド「パイカジ」と協業したパイナップル柄のシャツを夏から東京・銀座の和光で販売する予定だ。
日本で生産されるパイナップルの98%は沖縄。果実の3倍ほどの量がある葉は堆肥(たいひ)にもならず捨てられてきた。繊維になるのは生の葉の1%だけなので、沖縄だけでは足りず、生産量世界第2位のフィリピンをはじめ、インド、中国、台湾などと連携して原材料を調達している。
数カ月ぶりに宇田社長に進捗(しんちょく)状況を聞くと、前回、本紙に記事が掲載され、大手企業からの問い合わせが相次ぎ、商談も進んでいるとのことだった。今回、アパレル生地にできない残渣(ざんさ)では中国企業と組み、バイオマスプラスチック事業も始めた。このプラスチックを用いたストローは環境負荷の低い新材料として沖縄のホテルなどに数百万本を納品する予定だという。
大量生産による衣料品の廃棄など社会課題の解決を目指す企業やブランドが注目されているが、一般消費者に広く受け入れられるには、ファッションを入り口としたブランディングも有効だろう。