《めてみみ》踏ん張りどころ

2021/03/04 06:24 更新


 商社繊維事業の縮小、再編の動きが激しくなってきた。日鉄物産繊維事業と三井物産アイ・ファッションが来年1月をめどに統合し、新会社を設立。蝶理は住友商事からスミテックス・インターナショナルの全株式を6月1日付で取得し、完全子会社にする。

 蝶理は「商材、顧客の重複が少なく、得意素材も合繊と綿。大きな相乗効果が出る」と繊維事業を25年度で売上高2000億円、経常利益100億円に伸ばす。利益は現状の倍にする目標。付加価値品を充実し、国内の中高級品や海外向けの拡大などで収益性を引き上げる必要がある。

 事業環境は厳しい。コロナ禍で国内ファッション向けがOEM(相手先ブランドによる生産)事業のほか、原料、生地も苦戦する。今後の市場性や大手顧客の直接貿易の拡大などを考慮し、総合商社は子会社を含めて繊維事業が必要かを精査し、素材メーカー系商社では衣料向けを軸から外す動きもある。

 昨年の全国百貨店の衣料品売上高は前年比31%減の1兆1400億円。1年で5400億円の消失で、過去10年間の減少額とほぼ同等。わずか1年で10年分の落ち込みを味わった。既存SCの売上高も22%減った。

 コロナダメージは計り知れない。一度しぼんだ市場を回復させるのは簡単ではないが、新たな需要や商材、商機をつかみ何とか踏ん張りたい。



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