20年(1~12月)の全国百貨店売上高は前年比25.7%減の4兆2204億円だった。3年連続の減少で、75年以来の45年ぶりの低水準となった。新型コロナウイルスの感染拡大で、店舗の臨時休業や時短営業を強いられ、インバウンド(訪日外国人)需要が大幅に減ったのが影響した。
緊急事態宣言が出た4月の売上高は73%減で、統計開始以来、最大の下げ幅となった。その後も外出自粛やテレワークの定着により、前年の消費増税の反動増があった10月を除いて2ケタ減が続いた。入国規制による訪日客減で、免税売上高は過去最高だった前年の3461億円から一転して、686億円(80%減)となった。
市場規模は91年の9兆7130億円のピーク時と比較して約6割縮小した。特に、衣料品は前年実績に対して3割減少し、14年から7年連続のマイナス。売り上げ構成比は27%で、衣料品の構造不況がくっきり表れた。NBの撤退、ブランドの統廃合で、衣料品売り場の空床化が加速した。
地区別では、10都市が28%減。外出自粛による影響で、東京や大阪など都心店の客数が大幅に減少した。地方は19%減だった。12月末の店舗数は196店で、地方を中心に閉店が相次いでいる。地方店は都心店に比べて経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)なだけに、今後の資金繰りや財務状況の悪化が懸念される。