新しい年を迎えた。感染は終息せず医療崩壊も懸念されるなか、年末年始も奮闘されている医療従事者のみなさんに感謝したい。その一方で、業績悪化で数多くの事業者や従業員が不安を抱えて新年を迎えている。私たちも感染防止に取り組み、政府や自治体に対する休業補償や雇用継続の拡充を求めていきたい。
多くの企業が再生に向けた経営計画の見直しを本格化している。大きな課題はサステイナビリティー(持続可能性)とDX(デジタルトランスフォーメーション)である。これらを経営課題の一つと位置付けるだけではなく、企業の存在意義や理念の中心に置く必要がある。
企業の重点に利潤の追求が置かれてきた結果、それが自然環境の破壊や経済格差などを生んだ。国連の予想では2050年に世界の人口は97億人に達する。これだけの人々が健康で文化的な生活を営むためには、企業の行動を変えなければならない。SDGs(持続可能な開発目標)が求めるのは、まさにこの点だ。
デジタル技術も効率化や人員削減だけを目的にすべきではない。企業の姿だけでなく、産業構造を過剰生産・大量廃棄型から持続可能な循環型に転換する。こうした取り組みが生活者との共感につながり、新しい価値を生み出す。21年はこうした動きを応援し、私たち自身も変革する年にしたい。