都心部の百貨店、SCともに11月商戦は、下旬の落ち込みが響き減収幅が再び拡大した。駆け込み需要の反動の大きかった9月よりは減収幅は小さいものの、10月と比べると10ポイント程度下がった施設が多い。「11月最終週の来館客数は約4割減と9月よりも下げ幅が大きい」と、あるSC。「直近の入店客数は前年の半分」と話す都心百貨店もある。
要因は、新型コロナ感染者数の急速な再拡大に尽きる。一部都市を目的地とする「Go To トラベル」の停止や出発利用の自粛が要請され、12月28日からは全国一斉停止となる。酒類を伴う飲食店の時短営業要請の対象地域も広がった。消費者の外出や移動の自粛はさらに強まるだろう。
もっとも、家ナカ需要関連商品は一貫して好調だ。本紙15日付1面では「インテリア関連・暮らし充実で活況」の見出しで、生活必需品だけでなく、アートやオブジェなどの装飾品も伸びていると掲載した。百貨店のファッションジュエリーのクリスマス商戦も「客数減・単価増が鮮明」で、例年より高単価商品が売れている。
書き入れ時の12月が厳しくなりそうだが、暮らしを豊かにする〝必需品〟は求められている。可処分所得の中で優先順位はあるにしても、おしゃれも暮らしの一部のはず。「装い充実で活況」という日がいずれ来ることを信じたい。