《めてみみ》緊急性を問う

2020/12/17 06:24 更新


 政府は約19兆1700億円の今年度第3次補正予算案を閣議決定した。繊維・ファッション、SCを含む小売り・流通業界を所管する経済産業省分は約4兆7000億円。財務省計上分も含め、1次補正、2次補正と合わせると28兆円を超える。当初予算額約1兆3000億円(臨時・特別措置を除く)を大幅に上回る異例の規模だ。

 補正予算は文字通り、当初予算では額が足りなかった施策を補うものだが、今年度は想定していなかった新型コロナウイルス対策が最重点。3次補正でも中小・小規模事業者への資金繰り支援策や事業再構築に取り組む企業への補助金などが計上された。

 ただし、中小事業者の要望が強かった持続化給付金の追加措置などは盛り込まれず、5G技術や脱炭素化の研究開発に関連した予算は新制度を含めて増額された。これらは重要なテーマだが、来年度当初予算で措置してもよい。コロナで苦しむ事業者への支援策の方が緊急性があり、もっと予算を投じるべきだ。

 コロナ禍で資金繰り支援策や持続化給付金、家賃支援給付金を中心に、多くの繊維・ファッション企業が今年度補正予算を利用した。来年度当初予算は12月21日に閣議決定される予定。繊維・ファッション業界の支援につながる政策がどれだけ盛り込まれるかを注視し、要望を出し続けなければならない。



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