《めてみみ》一抹の寂しさ

2020/11/17 06:24 更新


 百貨店の21年初売りは異例の静けさとなりそうだ。福袋は年内に前倒ししたり、ネットで事前予約を受け付ける店舗が相次いでいる。例年、初売りは福袋やセール品を買い求める客で開店前に長い行列ができるが、新型コロナウイルスの感染防止のため、来店客を分散化し、混雑を回避する。

 西武池袋本店は販売期間を前年に比べて14日増やし、12月26日から1月11日まで販売する。事前予約は約500ブランドを対象に店頭で12月上旬から受け付け、初売り当日は開店前に整理券を配布する。高島屋は店舗やオンラインでの予約販売のみ。初売りの1月2、3日は予約分の受け渡しもしない。受け取りは年内または1月4日以降となる。

 コロナ禍で、集客の目玉となる物産展は順次再開しているが、混雑を避ける目的で、入場制限や別会場での商品の受け渡しなど密回避の措置がまだ続いている。年明けの冬のクリアランスセールは、今夏と同様にブランドやフロアごとに実施する五月雨式になる。

 新型コロナ感染対策が最大の経営課題となった。店舗に多くの客を集め、売り上げ増に結び付ける従来の商売のやり方ができなくなった。もっとも、リアル店の魅力の一つはECにないライブ感であり、イベントとして混み合うことも買い物の楽しさだった。新常態の中で、一抹の寂しさを感じる。



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