《めてみみ》結束の誓い

2020/11/12 06:24 更新


 ジョー・バイデン氏が米国次期大統領に就くことが確実となった。トランプ大統領誕生に「まさか」と驚いたのが4年前。

 トランプ氏の「米国第一主義」は世界に大きな影響を与えた。米国はTPP(環太平洋経済連携協定)を離脱、NAFTA(北米自由貿易協定)は新貿易協定に変わり、中国とは貿易戦争に突入した。地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からも離脱してしまった。

 自国第一主義は米国だけに限らない。英国はEU(欧州連合)を離脱。EUと新たな貿易協定などを結ぼうとするが困難を極める。

 自国第一主義が必ずしも悪いとは思わない。どの国も自国を一番に考えるのは当然だ。ただ長年の関係や協議してきたことが国のトップの交代で大きく方向転換すると混乱が生じる。特にサプライチェーンなどは時間をかけて投資し、築いたもので簡単に変えられない。政治の都合で右往左往するのは、たまらない。

 「分断」がキーワードになった今回の大統領選。世界も分断が進む。しかし、地球環境問題など1国では対応が限られる事案も、世界が協調すれば大きな力になる。バイデン氏は勝利宣言で「分断ではなく結束させる大統領になる」と誓った。世界に向けてもこの姿勢で臨んで欲しい。新大統領就任を機に、世界が協調と共生の方向に進むことを期待したい。



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