販売促進策の重点が、〝マス〟から〝スモールマス〟へ移行するかもしれない。百貨店やSCの販促といえば、物産展などの催事や会員対象のポイントアップ、全館セールだろう。より多くの人を集めること、入店客数を増やすことが販促の肝。これらの企画は、今もマスを呼び込む代表的な集客策だ。
今夏はコロナ禍で、全館セールの打ち出しをやめた施設が多い。物産展やチラシ配布なども自粛してきた。徐々に再開し始めてはいるものの、密にならない対策は必須。「全開」とは言えないまでも、〝販促なし〟とは違う局面に移ることで、今後の集客向上に期待する施設は多い。
販促自粛期間を振り返ると、入店客数の減少幅に比べ、売上高の減収幅はおおむね小さい。目的買いやまとめ買いにより、買い上げ率や購買客単価が向上したためだ。リベンジ消費と言われる購買行動の要素が大きいのだろうが、各ショップの情報発信が下支えしたように思う。
各施設のホームページを見ると、コロナ禍の前に比べ、各ショップのブログなどが大量かつ頻繁に掲載されるようになった。「コロナ下にできること」を追求した結果だ。消費の多様化に対応するためには、ポイントアップなどマス向け〝経済販促〟とともに、個々のテナントの力を活用した共感型のスモールマス販促も欠かせない。