長野県松本市の松本パルコとイオンモール松本は市と商店街、メディアと連携し、地元での買い物を促す大型キャンペーンを9月18~30日に行う。スタンプラリーや商店街でのイベントなどのほか、互いにメインディスプレーを貸し出し、イオンモールではパルコ、パルコではイオンモールの秋の打ち出しファッションを展示し、相互送客も図る。
2施設の協業は初めて。両者は約1.2キロに位置し、競合関係にある。パルコの売り上げはイオンモールが17年9月に開業してから32カ月間連続で減少した。しかし、今年に入って影響が収まってきたため、「互いに協力して市場のパイを広げたい」と伊藤智人松本パルコ店長が考え、企画が実現した。
背景には大都市の施設やECへの消費流出など、地方都市が共通で抱える課題がある。伊藤店長は「コロナ禍で外出を自粛する人たちが多く、ECで買い物する消費者も増えた。商店街は観光客減少の打撃を受けている。こんな時期だからこそ、感染予防に配慮しながら、地元の人たちが街に出て、リアルの買い物を楽しんでもらうための仕掛けが必要」と強調する。
エリア間競争が激化する中で、同じ地域内の協業は以前から多いが、コロナ禍で新たな取り組みが広がっている。松本の事例が地方都市活性化のモデルケースとなるのか注目したい。