セレクトショップや地方の専門店などにイタリアの重衣料やシャツ、ニットを販売しているメンズのインポート卸をお盆明けに取材した。来春夏向けで売れた商品は何か聞いて回る。この時期の定番取材だ。
通常は6月にイタリアで行われるピッティ・イマージネ・ウオモに日本から詣で、次シーズンのトレンドをつかむ。7~8月に卸が国内展示会を開き、小売店はそこで何をどれだけ買うか決めるという流れだが、今年はコロナ禍でピッティが開催されなかった。
そこでイタリアからサンプルを取り寄せ、都内の個店や大手とはなんとかそれで商談はできたが、地方の個店がやって来ない。理由は「展示会で東京に行くというと顧客が怖がって店に来なくなるから」。
地方からすれば感染者数が拡大している都内に出かけることが危険な行為に映る。リモートで商談を試みた卸もあったようだが「色や形は見せられても、軽さとか肌触りなど夏物に重要な着心地に関する特徴は画面越しでは伝えきれない」。
扱う商品はジャケットで10万円、Tシャツも1万円超えも当たり前の高額品が多い。実物を確認しないと売れないし、買えないと、顧客には告げずに展示会に来た地方店のオーナーもいたらしい。ネットでできることが増えても、それだけで決められないことも、商売にはまだある。