商業施設の売り上げが厳しさを増している。本社が毎月実施している全国主要都市のファッションビル・駅ビル33施設の月次商況調査では6月に続き、7月も対象全施設が減収となり、多くの施設の減収幅が拡大した。全施設が2ケタ減で、オフィスワーカーや訪日外国人を中心に来街者が減少している新宿、渋谷、池袋の施設の大半は50%以上落ち込んだ。
新型コロナウイルス感染の再拡大で外出自粛が広がり、長梅雨が追い打ちをかけた。8月序盤も依然厳しく、梅雨明けからの猛暑の影響で秋物の動きが鈍い。大半の施設で在庫消化のための値下げ販売が続く。
ただし、好材料はある。ファッションへの関心が高い客が多く来館する都心の施設では別注や協業商品をきめ細かく提案したり、通常は出していない高単価なインポート品を販売するなどMDで工夫したショップが健闘している。オンライン接客やSNSでの情報発信によって、客の来店を促したショップも多い。話題性のあるエンターテインメントコンテンツの期間限定店を開設して集客につなげた施設もある。
客のニーズはゼロではない。まずは顧客と向き合い、そのニーズへの対応と掘り起こし作業を地道に重ねることが大切だ。今はかつてない厳しい時期だが、次につながる新たなノウハウを積み上げる好機とも捉えたい。