今後、セールはどうなるのだろう。今春夏は、ほぼ全施設が営業再開直後から値下げ品の併売を認め、実質的にはセールが始まった。それを踏まえ、全館セールを実施するところと全館セールを休止してショップ任意開催型にした施設が併存することになった。
3密を避ける。販売機会と売り上げを失ったショップを支援する。この思いは、どちらの施設も同じだ。全館セールを行うのは「各ショップの在庫処分を全館セールで後押しする」ため。「個々の事情」を優先した任意型も、実際には「ほぼ全ショップのセールが始まっていますよ」と、ささやかに告知する施設が多い。
長年、全館セール開始日は、ショップの意向を聞きつつも、最終的には施設側が主導して決めていた。統一するのは「お互いに集客面でメリットがあったから」だ。営業時間の統一も同様で、来店客に利用しやすい環境作りはショップと施設の双方にとって最適と判断している。
営業時間はES(従業員満足)の観点から短縮を望むショップが多く、短縮施設が増えてきた。コロナ禍を機に、さらに増える可能性が高い。セールについても同じ見方が成り立つ。セールに依存しないサステイナブル(持続可能)な物作りを重視する企業が広がるとすれば、長年議論されてきたセールのあり方も変わっていくのだろう。