経済産業省が昨年10月1日、中小の事業者を対象に開始した「キャッシュレス・ポイント還元事業」が6月30日に終了する。経産省によると、登録加盟店数は約115万店。初日から今年4月13日までの登録決済事業者のキャッシュレス決済手段を使った総額は約8兆5000億円で、そのうちポイント還元額は約3530億円だった。
9カ月間で総額約7755億円の予算を計上した事業の目的は消費増税後の消費底上げと中小事業者支援、キャッシュレス決済の促進。これらに対して、成果はあったのか。消費の底上げにつながったのか否かは新型コロナウイルスの影響が大きく、見極めづらい。
中小事業者支援とキャッシュレス決済の促進について、経産省は「一定の成果はあった」とみる。加盟店数は「当初の想定」だった50万店を大幅に超えた。QRコード決済による少額で多頻度の利用が増え、多くの中小店が導入した。
経産省は今月、キャッシュレス決済を中小店にさらに広げるための検討会を立ち上げた。中小店の負担が大きい加盟店手数料率の引き下げにつなげるため、その開示を決済事業者に促すガイドラインも策定した。
店での新型コロナ予防策としてもキャッシュレス決済の重要性が高まっている。中小店が大きな負担なく導入するために、国のさらなる支援策が必要だ。