経済産業省は新型コロナウイルスに対する緊急経済対策として決定した20年度第2次補正予算案で、SCなど商業施設を含む賃貸不動産に入居するテナントの家賃の一部を国が補助する「家賃支援給付金」を新設した。複数店舗を持つ事業者では法人で月額最大100万円、個人事業者で50万円が6カ月分支給される。
給付対象は資本金10億円未満の中堅・中小事業者。直近の売上高が前年同月比50%を超える減少などの要件を満たせば、多くのファッション企業が給付金を受け取れる。「ファッション企業の家賃は高く、これでは足りない」との指摘はあるが、一定の負担軽減にはつながる。業界にとっては「朗報」だ。
日本ショッピングセンター協会をはじめとした業界団体のほか、青田行ユナイテッドヌードジャパン社長らファッション小売業の経営者有志が政府に対して要望を出した成果でもある。当初の支援案は飲食店を主体に想定されていたが、業界の実情を政府に粘り強く訴えた結果、対象業種は限定されず、給付額も当初案よりも増額された。
青田社長は政府関係者に人脈がなかった。ネットで「中小企業政策を重視している議員」を調べて連絡を取り、経済産業副大臣との面談にまでつなげた。信念を持って諦めずに行動を続ければ、声は届く。今後に向けた業界の教訓としたい。