《めてみみ》長期化の覚悟

2020/05/19 06:24 更新


 39県への緊急事態宣言の解除を受けて、百貨店の営業再開の動きが相次いでいる。高島屋はほぼ全店で5月18日から衣料品や雑貨などの営業を始めた。一方で、三越伊勢丹や大丸松坂屋百貨店は首都圏や札幌の店舗の臨時休業を継続する。新型コロナウイルスの終息に向けた一歩を踏み出したが、消費回復への明るい兆しが見えない。

 いち早く全館営業を始めた地方店では全面再開に程遠い状況だ。衣料雑貨や化粧品の外資系ブランドをはじめ、NBなど有力国内ブランドの休業が続いている。再開売り場では休業前の春物が売れ残ったまままで、例年は大型連休明けに行う春物の値下げ処分も見通しが立たない。

 「春夏物が動かないため、秋冬物の減産や生産中止に追い込まれている」(服地製造メーカー)という。百貨店の秋冬物の仕入れにも影響が出るのは避けられない。1~2カ月に及ぶ店舗の休業はアパレルメーカーだけでなく、取引先である製造メーカーなど川上を含めたサプライチェーン全体に打撃を与えている。

 個人消費のV字回復は感染の再流行の懸念などで期待薄だ。三越伊勢丹は、宣言の解除後も「外出自粛による消費減で、売り上げの3~4割減が3カ月間くらい続くだろう」(杉江俊彦社長)という。その後も厳しい状況が続く見通しで、景気低迷の長期化を覚悟しなければならない。



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